なついの日記

ときめきと恥の物語

全部、全部君とだった

※「Ch8」の感想文です

※私なりのコンセプト「ミリしらの記者がCh8を追ってMeseMoa.を知る」を目指した結果大変固い文体になりましたがわたしは元気なので心配しないでください。

 

 

 

 

 

 

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全部、全部君とだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 MeseMoa.は7年前に動画投稿サイトで生まれた、男性9人組アイドルグループだ。

 旧称をむすめん。といい、モーニング娘。を始めとする女性アイドルグループのカバーダンスを披露する異色の男性グループとして男性地下アイドルの黎明期に結成された。*1

 その後、オリジナル曲のリリース、ライブ活動、メンバー1名の卒業*2と改名を経て2019年、全国ツアー「Ch8」(チャンネルエイト)のツアーファイナルで収容人数4000を超えるパシフィコ横浜での公演を達成した。一切のレーベルに属さないままパシフィコ横浜公演を達成したアーティストとしてはおそらく史上初の快挙だ。

 

 

 

 7年前。

 むすめん。は他のアイドルとは決定的に違った。どこが違うのかというと、彼らはオーディションなどで選ばれた存在ではなかった。アイドルとは本来誰かに選ばれてそれを名乗る資格を得るものだったはずだが、彼らはそもそもが既存アイドルのパロディをやっていたオタクの集まりで、あくまでも「自称」アイドルだった。「だった」というのは、本物にはなれないはずだった彼らを’’アイドル’’と定義してきた存在こそが、彼らの活動が真似事でも、インターネットの片隅にいた彼らを見つけて、その個性、信念、物語に惹かれてライブに足を運んだファン達に他ならないからだ。

 

     むすめん。を選び、むすめん。をアイドルにしたのは、むすめん。のファンである。

  そして7年が経った今、彼らは自ら選ばれにゆくアイドルへと成長を遂げた。

 

 

 

 

 

 メディア露出に恵まれない彼らが自分たちの番組を全国に届けにゆく、前代未聞にして最高のツアー「Ch8」はまさしくその証明だったと思う。世界観や曲調の振幅が激しいセットリストはまさに「コンセプトを持たないアイドル」と豪語するだけのものだった。成人男性とは思えないかわいいの衝撃波をオタクが全力のコールで迎え撃つ話題作「Love!×2 Chu!×2 Yeah!!×3」*3の直後に「UNBALANCE BOY」*4でパリコレクションのランウェイを歩き始めて、オタクの死骸が散見されたツアー初日が懐かしい。「Vampire Kiss」ではセクシーに、「庭の樹」では切なさを、「悲しみフォトグラフ」では憂いたっぷりに、照れも迷いも見せず曲の世界観を演じきる。そのうえしっかり茶番も挟む余裕すらある彼らの、いったいどこが公式サイト*5で銘打たれている”素人アイドル”なのかとも思うわけだ。しかし、今現在アイドル界でプロと言われるようなメジャーアイドルと比べれば、資本やマスメディアの力を借りることなく地道に動員を増やしてきた彼らはある意味で”素人”8年目のアイドルと言えるのかもしれない。

 CDならひとりで何枚でも買える。お金さえ出せばCMは打てる。けれども動員数は、簡単には増やせない。売上ランキングにも載らないし、テレビで見ることもできない”素人アイドル”MeseMoa.にとって、埋めた箱の名前こそが唯一にして最高の肩書きなのである。ファンの数で嘘はつけないからだ。それは、テレビ出演やCDの売上が未だ価値基準として機能している旧来の男性アイドル界隈に対する前代未聞の挑戦である。そういう点で、今ツアーの到達点として設定された「パシフィコ横浜」には重要な意味があった。生半可で立てる場所ではないことは誰もが知っている。誰でもアイドルを名乗れる時代である。「頑張っているところが尊い」「努力しているから応援したい」と言われるだけのお遊戯会のステージはいつの間にか越えて、彼らの物語や人柄を知らずとも惹きつけられるパフォーマンスを魅せるMeseMoa.の輝きが眩しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ステージで輝くために必要なのは、自信だと思う。自分がそこに立っていることを疑ってはいけない。不安や躊躇いは観客に伝わるものだからだ。「Ch8」において、満員の観客を前にしたMeseMoa.には躊躇いも迷いもなかった。

 輝きの原動力は何だろう? 

 歌が上手くなった、ダンスが上手くなった、セットや衣装は豪華になった。全て、彼らの努力とファンの応援の結晶である。でも本質にあるのは、きっとそんなことではないと確信した瞬間があった。「Ch8」埼玉二日目の2部、セトリ後半の「平成パラダイムチェンジ」の途中、いよいよ落ちサビに差し掛からんというところで次の「時計仕掛けのロマンティカ」に切り替わってしまう音響トラブルがあった。彼らの判断は早かった。瞬時にフォーメーションを切り替え、纏う空気を変えた。客席のボルテージも、一気に上がった。熱気に頬を焼かれる感覚は今でも思い出せる。

 これが、むすめん。の作ってきたものか、と思った。それは、ファンとの信頼関係が織りなす最高の空間だ。ハプニングすらエンターテインメントにしてしまえる彼らへの信頼と、トラブルすら楽しんでくれるであろうというファンへの信頼。輝きの原動力は、それが下手くそでも、真似事でも、彼らを信じて背中を押してきたファンにあるのだと、肌で感じた。

 

 

 

 

 

  私たちは、もっともっと大きな舞台が彼らに相応しいと信じている。

 その帆を膨らませる風になる。暗夜を導く光になる。

 

 

 

 太平洋を渡った。次はどこを目指すのか?

 選ばれなかった彼らが、選ばれに行く物語。






 

 

筆者:なつい*6

 

2019.7.31  執筆

2019.8.17  加筆

2019.9.16  加筆修正

執筆に際しご協力頂いた方々に厚く御礼申し上げます。

 ※この記事はファン活動の一環として寄稿のご依頼を頂き執筆したコラムに大幅に加筆したものです。依頼元での発表前の公開となることはご了承を頂いております。 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:結成と改名の経緯が描かれた公式マンガhttp://www.mesemoa.com/comic/0001.html

*2:卒業メンバーのぜあらる。は、卒業後にMeseMoa.とその後輩グループが所属する株式会社DDを設立し、現在は社長となっている

*3:2nd Album「Its' showtime!」より

www.youtube.com

*4:2nd Album「Its' showtime!」より

www.youtube.com

*5:MeseMoa.全国ツアー2019「Ch8」公式WEBサイトhttp://www.mesemoa.com/ch8/

*6:

 

 

編集後記

 

なんてものは書かずにさくっと上げろよって話なんですけど恥ずかしくて無理だったわ。予防線is大事。

MeseMoa.と出会って1年、いろんなオタクに昔のことを見聞きさせてもらった今感じていることと、ずっと前からMeseMoa.のこういうところが唯一無二で面白いよなあと思っていたことがいい感じにつながったので書けました 6割くらいは前回のブログと同じことを言っています 違う所は文体と仕様(新規の方にも読んでもらいたくて脚注を駆使しました。それだけ)です!!今5:47なんですがお前は深夜じゃないとブログを更新できない病気なのか????イープラス様にお祈りをして寝ます!!!!